お茶旅 朝宮 滋賀県 近畿

vol.9 晩秋の茶園で新茶を占う!ナイスガイ茶師・多田さんと行く茶園見学

更新日:

新名神IC信楽インターを降りて山あいの道を走ること20分ほど。一面に美しい茶畑が続く地区があります。滋賀県の南部・信楽町。タヌキの焼き物の「信楽焼」で知られますが、「朝宮茶」の産地として古い歴史があります。多田製茶の多田さんのご案内で若手農家さんに会いに行ってきました!

多田さんについてはこちらの記事をチェック


vol.8 コンサル出身のナイスガイ!製茶問屋の7代目・多田さん

大阪府・枚方市で明治時代から製茶問屋を営む多田製茶さんにナイスガイの若旦那がいらっしゃるとの噂を聞き、お邪魔しました! 異色のコンサル出身の7代目! 多田製茶さんは明治初期から茶業に携わる老舗のお茶屋 ...

続きを見る

 

 

絶景の茶園!芳醇な香り!朝宮茶

眼前に広がる絶景の茶園!

朝宮茶は現在40軒弱の農家さんによって守られています。集落を眺望できる小高い丘からの眺めに感激!

朝宮の茶園

今回お邪魔した朝宮は5大銘茶の一つにも数えられる「朝宮茶」の産地です。冬の夜にはマイナス10度以下まで気温が下がる寒冷地。しかし、昼夜の寒暖の差が気品のある独特の香りを生み「香りの朝宮」とも。朝宮で作られる柚子や野菜、樹木も香りが強いのだとか。

日本五大銘茶

朝宮(滋賀)宇治(京都)川根・本山(静岡)狭山(埼玉)

 

晩秋の茶園で新茶を占う

訪れたのは秋も深まる11月半ば、茶園は秋整枝が終わったところでした。

芽の状態を確認する多田さん

芽の状態を確認する多田さん

はやし
茶園ではどこを観察したらいいのでしょう
多田雅典さん
多田さん
整枝した茶園の様子を観察することで、茶園の状態を確認したり、来年の新茶の出来を予想したりします

そういって多田さんは夏や秋に刈った芽からの伸びた長さや葉の大きさを確認。秋整枝が終わるとお茶の樹は冬に備えるための芽(越冬芽)を作り、休眠します。その越冬芽の状態を観察することで来年の一番茶の収穫を予想できるそうなんです。

朝宮茶

秋整枝の終わった茶樹

自衛官からお茶業を継がれた北田さん

最初に茶園を案内してくださったのは、多田製茶さんのお取引先であるカネヨ製茶の北田麗子さん。自衛隊を退職され、ご主人と共に家業を継がれて3年目。現在は小さなお子さんを育てながら、お茶作りに取り組まれています。

北田麗子さん
北田さん
農業は自衛隊の時とはまた違った充実感があります。モノを作る喜びは生産者ならではなのです。また、お茶をやっていなかったら出会えなかった人たちとのご縁をいただきました

お茶づくりはまだまだご両親から教わることばかりと微笑む麗子さんですが、自営業、子育て、地域…たくさんのものを背負った麗子さんの真っ直ぐな眼差しには力がありました。

お茶刈はご主人との共同作業

お茶刈りはご主人との共同作業で

朝宮の次世代を担う存在

朝宮の次世代を担う存在

朝宮の香駿をいただきました!

信楽焼の茶器で朝宮茶を

信楽焼の茶器で朝宮茶を

北田さんに淹れていただいたのは、香りが高い品種として知られる「香駿(こうしゅん)」。

多田雅典さん
多田さん
朝宮香駿はフローラルな香りが特徴で、山に咲く花のような香りがする煎茶です。封を切ったその瞬間から華やかな香りが漂います。
口当たりは朝宮らしいやや固めで切れ味が良く、純煎茶らしい爽やかな渋みとほんのりとした甘みを楽しむことができます。二煎目からは香駿独特のフローラルな香りが増し、心地よい香りがフワッと鼻に抜けるのを楽しめます。個人的には、クリーム系のスイーツとの相性が良いと思っています

紅茶のようにクリーム系スイーツに合わせられるのが香駿なんですね!※香駿 50g800円は多田製茶さんの店頭のみの販売ですが、郵送での対応もしてくださるそうです。詳細はmtada@tea-tada.co.jp (多田製茶 担当・多田雅典さん)へお問い合わせください。

\多田さんのオススメ!朝宮煎茶/

ヤブキタ品種の煎茶にも朝宮らしさがある、と多田さんはおっしゃいます。

多田雅典さん
多田さん
朝宮ヤブキタはスッキリとした鋭い香りが特徴で、山中にいるような爽やかな香りがする純煎茶です。口当たりはやや固く、ミネラル感があり、しっかりとした上品な渋みと甘みが共存しています。やや高めの湯温で淹れると、朝宮らしい上質な山の香りと力強いコクを一層楽しむことができます

煎茶/茶の匠 朝宮近江茶(煎茶) 100g 1500円(税抜)

煎茶/茶の匠 朝宮煎茶

煎茶/茶の匠 朝宮煎茶

香り
旨味
渋味
水色
コク

滋賀県は日本の茶の発祥の地とも言われ、栽培は僧最澄が中国から種子を持ち帰ったことに始まると言われています。南部一帯に広がる茶園のなかでも「朝宮」は、土質のよさに加え内陸的で寒冷な気候の影響を受け、特に香りのすぐれたお茶の産地として知られています。渋味のきいたシャープな味と、香り日本一と言われるに相応しい芳醇な香りをお楽しみください。

ご購入はこちらから→

 

朝宮のお茶男子・服部さんの茶園

次に、多田さんが茶業に入る前からのご友人という服部昭彦さんをお邪魔しました。

茶園で石を割ればお茶の味が分かる?!

多田雅典さん
多田さん
茶園では土壌も確認します。例えば、石を拾い、割ってみたり
はやし
えっ、石ですか!

お茶は地面深くに根を生やし、根から取り込んだ栄養素がそのままお茶の味になるのですから土壌が大切なのは分かります。とはいえ、多田さんのアドバイスに従い、素人が石を割ってみてたところでさっぱりわかりません。朝宮は古琵琶湖層群で形成されており、信楽焼の陶土として使用されている粘土質の多い地域。ですが、決して広くない朝宮地区内でもそれぞれの茶園によって地質が違い、お茶の味わいもそれぞれに違うとか。

謙虚で物腰の柔かい好青年!昇龍園・服部さん

朝宮茶の生産者・服部昭彦さん

朝宮茶の生産者・服部昭彦さん

服部さんは「単なる農家の親父になりたくなかった」と社会勉強された旅行代理店でのご経験からか、謙虚で物腰の柔かい好青年!多田さんとは同い年なんだそう。服部さんのお茶作りの転機は、5年前、一緒にお茶を作ってこられたお父様の急逝。お父様と一緒にお茶の仕事はしていたものの、お茶作りに一家言あるお父様の指示に従って作業をしていたため、なにをどうしていいか分からなかったそう。そこから試行錯誤を繰り返し、茶樹の栽培と製造をご自分で組み立てられた理論派。理論に基づき、丹精込めたお茶作りをされていらっしゃいます。

朝宮茶

朝宮は寒冷地のため遅霜も降りやすく、服部さんは秋整枝も霜の被害を最小限に抑える工夫をされているそうです。栽培の工程のひとつにも生産者によって考え方や哲学があります。また、気温が低いため、早生品種の育成は難しく、服部さんの畑ではヤブキタと在来種のみを栽培されているそう。

茶問屋さんと生産者さんの真剣勝負

茶園から服部さん宅に戻ったころには日がすっかり落ちていましたが、ここから服部さん、多田さん、お茶愛好家数名による熱いお茶談義が始まりました。
服部さんにお父様が亡くなって植えた5年目のヤブキタで作った今年と去年の煎茶をそれぞれ淹れてくださいました。同じ人が同じ茶樹から作った煎茶にも関わらず気候条件などにより味わいが違うことにビックリ。昇龍園の2018年物のヤブキタと2017年物のヤブキタ、という飲み比べはワインのようで面白く、とても盛り上がりました!

服部さん
服部さん
水分、何パーセントか分かりますか?
服部さん
服部さん
テアニンとかタンニンの量どれくらいか分かりますか?

と多田さんを質問攻めにする服部さん。服部さんの挑戦に多田さんも楽しみながらも真剣に味わい、コメントを返されます。お友達同士とはいえ、生産者さんと茶問屋さんのお茶の拝見は真剣勝負。聞いているだけで足が震えました。どこまでも熱く、どんどん深くなるお茶談義は時間が過ぎるのもあっという間でした。

 

朝宮の煎茶を守っていく

はやし
近畿の茶園ではかぶせ茶の栽培が盛んです
服部さん
服部さん
かぶせ茶をやらないんですか、とよく聞かれますが、朝宮は煎茶の産地です。これからも王道を守っていこうと思います

流行に乗らず、朝宮の煎茶を守っていくという気概を持つ服部さんの言葉をとても頼もしく伺いました。

今回見せていただいた茶樹が冬を経てどのように新茶へと変化していくのか、とても興味深いです。また定点観測にお邪魔させていただきたいと思います!

 

服部さんのお茶はこちらで

昇龍園さんの朝宮茶

昇龍園さんの朝宮茶

朝宮茶栽培製造 昇龍園 (服部昭彦さん)

服部さんは煎茶・親子ほうじ茶・在来紅茶を販売されています。各地の催事へ出店されることもあるので、ツイッターも併せてチェックしてみてくださいね!

TEL:090-9092-8945
Mail:shou.ryuu.en@gmail.com
twitter@shouryuuen

2019年は朝ドラの舞台に!注目の信楽!

2019年秋に放送を開始するNHKの連続テレビ小説は、滋賀県甲賀市を舞台にした「スカーレット」。戸田恵梨香さんが陶芸の世界に飛び込むヒロインを演じられるとか。美しい朝宮の茶園も映し出されると思うと今からとても楽しみです。朝宮はお蕎麦屋さんやかき氷屋さん、わらび餅屋さんの名店が点在する地域でもあります。近畿方面へお越しの際は、ぜひ朝宮でお茶を一服。

北田さんオススメ!朝宮の立ち寄りスポット

手打ちそばと朝宮茶の店黒田園

国産そば粉を100%使用した手打したそばを提供されています。毎週水曜日は数量限定で茶そばも登場します。(2018年11月現在)
滋賀県甲賀市信楽町上朝宮271-1
TEL:0748-84-0485

山本園 WITH TEA

煎茶や抹茶メニューのほか、朝宮茶をふんだんに使ったお茶スイーツがあります。
滋賀県甲賀市信楽町上朝宮275-1
TEL:0748-84-0014

お茶の洞之園
茶釜のお湯を汲んで自由に朝宮茶の煎茶を楽しめます。北田さんのオススメはわらび餅。
滋賀県甲賀市信楽町上朝宮249-1
TEL:0748-84-0115

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
林夏子(はやし なつこ)

林夏子(はやし なつこ)

岐阜山間部で祖父の営む富有柿畑に囲まれて育ちました。WEB制作会社を経て、2014年よりWEBライターとして活動。静岡県茶業会議所2017年度静岡ティーリポーター。日本茶の味わい、歴史、品種、かかわる人々の人柄に魅せられるファンの一人です。「はてしないお茶物語」は「Shizuoka Greentea Guide」にて連載中。

-お茶旅, 朝宮, 滋賀県, 近畿
-, , , , , ,

Copyright© 林夏子のはてしないお茶物語 , 2019 All Rights Reserved.