有機栽培茶 藤枝地区 静岡

Vol.5 有機栽培茶のリーディングカンパニー 葉っピイ向島園

静岡県藤枝市のJR藤枝駅から瀬戸川沿いに車で30分ほど。今回は藤枝市で無農薬無化学肥料でお茶を栽培されている「葉っピイ向島園株式会社」の園主向島和詞さんを訪ねました。

18歳でお茶農家を継いで

かねてから藤枝にすごい人がいる、という噂を聞いていた向島園さん。
いったいどんな方なのでしょうか。

有機栽培茶のリーディングカンパニー

36年前から無農薬無化学肥料でお茶の栽培・加工・販売をされている「葉っピイ向島園株式会社」。

いまでこそ「オーガニック」や「有機栽培」という言葉は一般的に浸透していますが、葉っピィ向島園の先代が完全有機栽培を始めたのは1982年のこと。
茶価の低下が叫ばれる昨今とは異なり、高度経済成長の真っ只中でお茶を作れば売れた時代でした。
世の中がお金に向かって走っている時代に、お金儲けではなく本来の農業のあり方に立ち返り持続可能な農業を目指されたそうです。

当時、慣行栽培のお茶は、いまよりもずっと多くの農薬や化学肥料にたよっていました。
過剰な農薬・化学肥料によって育てられるお茶は、和光さんの目に、茶農家の長男として生まれ家業である農業を継がねばならない自分の姿と重なりました。
過剰な農薬・化学肥料を投入され育てられるお茶の木は、お茶本来の姿ではなく、人間の都合により多収性を追求した結果生まれたものだと感じたのです。

林夏子のはてしないお茶物語

先代から引き継いだ一本仕立ての茶園(更新園)

林夏子のはてしないお茶物語

間隔を大きく開ける「疎植」(更新園)

林夏子のはてしないお茶物語

人の腕ほどの太さのある幹

和光さんは「お茶の生き方を尊重したい」という思いで無農薬無化学肥料栽培に踏み出します。

しかし、実際に農薬・化学肥料を止めてみると、茶を収穫できなくなりました。
茶の栽培は株の一部を切りとり、発根させて増やす「挿し木」が一般的です。
「挿し木」で育てたお茶の木は張る根も浅く生命力が弱くなり、農薬や化学肥料による助けが必要なのだそうです。
とはいえ、種を植えればいいかといえばそうではありません。チャノキは「実(種)」で育てると同じ品種にはならない特徴を持つからです。同じ品種を育てたければ「実」ではなく「挿し木」で育てる必要があるのです。

和光さんは、試行錯誤の末、できるだけ「実」に近い形で葉っぱ一枚を畑に刺して育て、根が土壌深く張り太い幹になるまで時間をかけて育てる栽培方法(一本仕立て栽培)を確立しました。

また、お茶とお茶の間隔を大きく開け、お茶がストレスを感じないでのびのびと育てる環境を作りました。

試行錯誤の末無農薬無化学肥料栽培を確立し、茶園からふたたび収穫できるようになるまでに15年もかかったそうです。
有機JAS法が制定された2000年に向島園はお茶部門でJAS認定第1号を取得し、有機栽培茶のリーディングカンパニーになりました。

18歳で有機栽培茶園を継ぐ

完全有機栽培茶確立の裏側で、時代のニーズがまだあまりなかった「有機栽培茶」は買い手がおらず全く収入がなくが何年も続いたそうです。
自宅の電気代が払えず、電気が止められたほど。

そして、先代の和光さんが急逝します。
そのとき、現園主の和詞さんはまだ高校生でした。
幼いころからお茶が大好きで茶園の手伝いはしていましたが、直接先代から茶業について教えてもらったことはありませんでした。
向島園の経営は売り上げに対して数十倍の借り入れがあり、だれからも再建が極めて困難だといわれる状態でした。
それでも周りの反対を押し切って、億単位の借入金と一緒に家業を背負うと決めたのは、「お茶を生き物としてみているところに惹かれた」からだといいます。
18歳という若さでそこに着眼する和詞さんの洞察力と、やり抜いた意志の強さに驚きます。

林夏子のはてしないお茶物語

最新鋭の設備の整った新工場

はやし
お父様がやって難しかった経営をどうやって建て直されたのですか
向島さん
気合とメンツです。父親がやってきた本来の農業の立ち位置であると思っている無農薬無化学肥料栽培を、自分が倒してしまったら失敗で終わってしまう。今自分で事業が失敗しても自分の失敗ですが、親の失敗とは思われたくなかった。だから無我夢中でやった。それに尽きます

「俺ならやれる」「やってやる」という気合と、借金で周りの人に迷惑をかけたくないという気持ちから「駄目でも筋は通す」というメンツ。その背景には先代であるお父様に対する強い思慕もあったに違いありません。お茶の栽培・製造も会社の経営もなにも分からないところからスタートし、本を読んで調べたり他の茶工場を回ったりして勉強されたそうです。先代からの引き継いだ熱い「思い」と、売り上げを積み上げていく「経営」の両輪を回し続け、先代から引き継いだ借入金はすべて返済し、念願の新工場を建設、事業を葉っピイ(happy)にされています。

「葉っピイ」にこめた向島さんの哲学

葉っぱの向こうに宇宙を見たい!(宇宙とは感動と感謝の爆発物と考えます) 

進化し続ける向島園

葉っピイ向島園の有機栽培茶

スタッフのかなこさんから向島園のおすすめのお茶を教えていただきました♡

深蒸し煎茶A 80g 1000円 (税抜)

普段飲まれるお茶として人気の深蒸し煎茶。苦味が少なく甘みが多いのが特徴です。

ご購入はこちらから→

香り
旨味
渋味
水色
コク

\この冬一押し/香棒ほうじ茶 80g 800円(税抜)

一番茶の茎の部分だけを強火で炒ったほうじ茶です。香ばしい香りが印象的で、その香りは、飲み終えた後でも喉元に残ります。
ご購入はこちらから→

香り
旨味
渋味
水色
コク

どちらも苦みが少なく甘みが口の中に広がります。どなたでも飲みやすく、小さなお子様もきっと喜んでくれる優しくて安心のお茶です。

次期社長?!営業部長?!薗田さん

向島園は経営も革新的です。栽培・製造・販売というすべての工程を園主を含め全員で行い、月末には試算表で経営効率性を確認。社員さん一人一人が個人商店をもって仕事に取り組むような仕組みを確立されているのだそう。

向島さんから「次期社長です」と紹介いただいた薗田さん。

薗田さんは前職では自動車メーカーで海外営業を担当されていた英語もスペイン語も堪能な敏腕営業マン
営業のみのご担当かと思ったら、栽培・製茶も行っていらっしゃるとのこと。「数字の面では厳しさもあるけど、張り合いがあって面白い」と薗田さん。

向島さんが先代と一緒にできなかったお茶の仕事。現在は繁忙期となれば24時間の交代制になる生産ラインを、元気いっぱいのスタッフの皆さんと一丸となって乗り切っています。
向島さんの言葉の一つ一つに周囲への感謝や気遣いを感じました。

「お茶の生き方を尊重する」葉っピイ向島園さんは社員さんもいきいきされてることが印象的でした。

人生の第二章はこれから

林夏子のはてしないお茶物語

18歳で事業を引き継いだ当初から目標にしてきた、先代から引き継いだ借入金の返済と新工場の設立。この大きな二つの目標を達成され、自分の人生の第一章が終わった感じがするという向島さん。弱冠32歳の若手経営者の人生の第二章の幕開けは、何がきっかけになるのでしょうか。

深く根を張ったお茶の木から大地のエネルギーが吸い上げられ、太陽の光をいっぱい浴びて育てられた葉っピイ向島園さんのお茶。いただくと、向島さんのようにまっすぐで優しい味でした。向島さんのお茶を通して、生きるエネルギーやヒントをもらえた気がしました。

たかがお茶、とおっしゃるでしょうか。
でも、お茶って本当に味わい深いです。

\葉っピイ向島園のお茶はここで購入できます/

電話 054-639-0514(受付時間 午前9:00~午後6:00)
FAX 054-639-0574(24時間受付)
E-mail info@mukoujimaen.jp(24時間受付)
定休日 土曜日、日曜日、祝日
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